【出版】ここまで来た書籍のデジタル化 今こそ欲しい「紙の本」への想像力筆者 福嶋 聡 「電子元年」=2010年以来「今か、今か」と噂され続けてきたキンドルの日本上陸に先駆けて、7月19日、楽天が電子書籍端末「コボ・タッチ」の販売を開始した。それに先立つ4月2日には「株式会社出版デジタル機構」が設立され、本格的な電子コンテンツの流通と市場創出をめざす。09年に全世界が揺れたグーグルの書籍デジタル化計画も、その後、英語圏に限定されている。日本側の守備陣形がようやく整ってきた……か。 否、逆に「敵」を引き寄せてしまうのではないかと、懼れる。 グーグルやアマゾンが「侵攻」の速度を緩めたのは、こと日本に関する限り、「面倒くさいから」ではないか、というのがぼくの見立てだからである。 1万種を超える漢字、ひらがな、カタカナ、と3種の文字を混ぜ合わせて使い、外字も多い。苦労して書籍をデジタル化しても、書籍