中原淳(東京大学准教授)のブログです。経営学習論、人的資源開発論。「大人の学びを科学する」をテーマに、「企業・組織における人の学習・成長・コミュニケーション」を研究しています。 ポジティブシンキングとは、「コップがこなごなに割れて床に散らばっていても、コップの水はいまだ半分あると思い込むこと」に似ている。(中略)そして、アメリカという国では、「ポジティブであること」はふつうであるにとどまらず、「規範」にさえなっている。「そうあるべきだ」とされているのだ。 ▼ バーバラ=エーレンライク著「ポジティブ病の国、アメリカ」を読みました。本書は、「ポジティブであること」が「規範」として人々を呪縛する、アメリカという国のダークサイドを論じた書籍です。 著者のエーレンライクは、第一級のジャーナリスト。彼女は、かつて米国の低所得者層の仕事であるウエイトレス、清掃婦、ウォルマートの店員を自ら体験し、そこでの