ブックマーク / huyukiitoichi.hatenadiary.jp (7)

  • 既存の「わかりやすい」人類史を現代の知識・研究でとらえなおす、『ブルシット・ジョブ』著者の遺作となった大作ノンフィクション──『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』 - 基本読書

    万物の黎明 人類史を根からくつがえす (翻訳) 作者:デヴィッド・グレーバー,デヴィッド・ウェングロウ光文社Amazonこの『万物の黎明』は、世の中にはやってもやらなくてもいいようなクソどうでもいい仕事で溢れているのではないかと論を展開した『ブルシット・ジョブ』で知られるデヴィッド・グレーバーの最新作にして、遺作となった大作ノンフィクションである(単著ではなく、考古学の専門家デヴィッド・ウェングロウとの共著)。今回テーマになっているのは、サブタイトルに入っているように、「人類史」だ。 多くの(特に売れている)人類史には、環境要因に注目したジャレド・ダイアモンド『銃・病原菌・鉄』や「虚構」をテーマにしたユヴァル・ノア・ハラリの『サピエンス全史』のように「わかりやすい切り口」が存在するものだが、書(『万物の黎明』)の特徴の一つは、数多語られてきた「わかりやすい切り口」の「ビッグ・ヒストリ

    既存の「わかりやすい」人類史を現代の知識・研究でとらえなおす、『ブルシット・ジョブ』著者の遺作となった大作ノンフィクション──『万物の黎明 人類史を根本からくつがえす』 - 基本読書
    kkbt2
    kkbt2 2023/10/11
    「わたしたちは、なぜ、地位や従属を、いっときの便宜的手段とか、威風堂々たる季節的演劇としてではなく、人間の条件の不可避の要素として扱うようになったのだろうか」「もっと人間は自由でいられるのではないか」
  • 生命の本質を分子間の相互作用の中に見出す新しい分野──『相分離生物学の冒険――分子の「あいだ」に生命は宿る』 - 基本読書

    相分離生物学の冒険――分子の「あいだ」に生命は宿る 作者:白木賢太郎みすず書房Amazonこの『相分離生物学の冒険』は、米国の学会では2018年からよく取り上げられるようになってきた、最新の生物学分野の研究テーマである「相分離生物学」について書かれた一般向けのノンフィクションである。著者の白木賢太郎はこの分野の研究者で、東京化学同人社などですでに相分離生物学の著作のある研究者だ。 相分離生物学とは何なのか。 僕は相分離生物学のことは名前すらも覚えがない(読んだことぐらいはあるのかもしれないけど)状態で読み始めたが、これはおもしろかった。現代の我々は人体を構成する要素についてかなりの部分わかってきている。DNAの解析も進み、どんなタンパク質で人体が構成されているのかも、あらかた把握できているといえるだろう。 では、そうして判明した人体の構成要素をピンセットで並べていったら、素材が完成した段階

    生命の本質を分子間の相互作用の中に見出す新しい分野──『相分離生物学の冒険――分子の「あいだ」に生命は宿る』 - 基本読書
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    kkbt2 2023/03/20
    「分子レベル的に生きた状態といえるのは、溶けているか、溶けた状態へと戻れることを意味する」
  • 習慣はどうやって形成されるのか?──『習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか』 - 基本読書

    習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか みすず書房Amazonいつも通勤や通学につかっている道は、何も考えずにも動けるぐらいには「習慣」になっているものだ。むしろいつものルートとは別の方角に行く必要がある時、そのことを忘れて「習慣」に引っ張られたりする。われわれは家の鍵をしめる動作をする時に、いちいち右手でかばんの右ポケットから鍵を出して差し込み右に回し──などと意識することもなく、習慣的動作によってほとんどを無意識にこなしている。 もし、習慣を脳に形成する力がなかったら、生活は面倒くさいものになるだろう。一方で、タバコや薬物のように、悪い習慣が形成されてしまう危険性もある。こうした習慣は、脳のどのようなプロセスによって形成されるのか? また、その仕組がわかるのなら、習慣を変えることもできるのではないか? そうした問いが連続していくのが、書『習慣と脳の科学――どうしても変

    習慣はどうやって形成されるのか?──『習慣と脳の科学――どうしても変えられないのはどうしてか』 - 基本読書
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    kkbt2 2023/02/17
    「変えることに成功した人たちは、失敗した人たちに比べて約3倍も引っ越しをしていた」
  • 所有は人を幸福にするか?──『人はなぜ物を欲しがるのか:私たちを支配する「所有」という概念』 - 基本読書

    人はなぜ物を欲しがるのか:私たちを支配する「所有」という概念 作者:ブルース・フッド白揚社Amazon人間にとって「所有」とは重要な概念だ。何一つ持たずに暮らしている人などそうそういるはずもないし、年末年始には毎年何を買って(所有して)良かったのかの振り返りが上がる。車や家など、所有がそのまま人生やその人の価値観や立場をあらわすステータス、象徴になるものも多い。所有しているものは自分の一部なのである。 われわれは新しいモノを買って所有しても、次はさらにもっと良いものを所有できないかと考える。その欲求には終わりがない。モノを所有することで、人はそれが奪われたり損なわれたりするのを恐れるようになり、行動に歪みが出ることもある。 モノを所有することで幸せになれると私たちは考える。だがむしろ、所有によってかえって惨めさが増すことも少なくない。富の蓄積にやっきになった一生をふり返り、「ああ、いい人生

    所有は人を幸福にするか?──『人はなぜ物を欲しがるのか:私たちを支配する「所有」という概念』 - 基本読書
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    kkbt2 2023/01/08
    「コト消費では、体験前の期待の段階だけでなく、事後の回想時にも満足感が得られる」「必要なのはもっと多くのモノではなく、いま手にしているものの価値に気付けるだけの十分な時間だ」
  • 空間認知の心理学・神経科学的基盤から、漫画の中の空間論まで──『Mind in Motion:身体動作と空間が思考をつくる』 - 基本読書

    Mind in Motion:身体動作と空間が思考をつくる 作者:バーバラ・トヴェルスキー森北出版Amazon意識、思考といったものは、我々の頭の中だけで作られるものではなく、空間と身体動作と意識の相互作用・統合によって形作られていくものである。たとえば、極端なことをいえば人間の赤ん坊は自分の手や足といった体が自分のものであることを理解していない。手を自分で、意識的に動かしているとは気づいていない。 親が指を近づけると、最初赤ん坊は握るが、それは反射的なものであって、見えなくなると追いかけない。だが、次第に手と意識が統合されていき、離れていく指やガラガラを自分の意志で追えるようになる。そのあたりは地味で基的な部分だけれども、「身体動作」と「空間」と「思考」の関係は広い領域に広がっている。 たとえば、我々は地元であれば大抵、道端で駅はどこだとか市役所はどこだとか聞かれれば、その場を起点にし

    空間認知の心理学・神経科学的基盤から、漫画の中の空間論まで──『Mind in Motion:身体動作と空間が思考をつくる』 - 基本読書
    kkbt2
    kkbt2 2020/11/12
    「空間思考を支える神経基盤が、抽象的思考を支えている(のではないか)」
  • わたしたち人間はなぜ音楽を愛するのか?──『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』 - 基本読書

    ドビュッシーはワインを美味にするか?――音楽の心理学 作者: ジョンパウエル,濱野大道出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2017/11/07メディア: 単行(ソフトカバー)この商品を含むブログを見る人間は音楽を聞く。通勤、通学のときはもちろん、家でゆっくりしているとき、みんなで盛り上がるとき、つらいことがあったとき、無理矢理にでもテンションを上げたいとき、退屈な作業をしているとき。我々はさまざまなシーン、用途にたいして音楽を聞いているわけだけれども、あらためて考えてみると「果たしてそれはどのように機能しているのか?」「なぜそれは機能するのか?」「音楽にはどれだけの影響力があるのか?」「人間はなぜ音楽を愛するのか?」など不思議なことが数多くある。 わたしたち人間はなぜ音楽を愛するのか? それは音楽を聴くことが、脳に適度な刺激を与え、同時に喜びを与えてくれる最良の方法だからだ。サイエンス

    わたしたち人間はなぜ音楽を愛するのか?──『ドビュッシーはワインを美味にするか? 音楽の心理学』 - 基本読書
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    kkbt2 2017/11/18
    「音楽を聴くことが、脳に適度な刺激を与え、同時に喜びを与えてくれる最良の方法だから」「音楽は、脳にとってスポーツのようなものなのだ」
  • 虫だらけの惑星──『昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略』 - 基本読書

    昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略 作者: スコット・リチャードショー,Scott Richard Shaw,藤原多伽夫出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 2016/07/13メディア: 単行この商品を含むブログを見る昆虫は最強の生物である──と断言されると、いったい最強とはなんなのだ。人類じゃなくて? と疑問が湧いてくるが、まあ「最強」の定義次第といったところだろう。たとえば、人類はこの地球上に種そのものを脅かす天敵はいないわけで、その観点からいえば「人類は地球最強の生物」といってもいいだろう。 しかし別の観点からすると、おそらく人類最強の個体である範馬勇次郎だって病気や癌によって死ぬわけでそうした抗いようのない病気/生命原理が最強なのか? ということにもなる。「個体」が最強なのか「種」が最強なのかにも違いがあるだろう。とここで昆虫の登場である。これ

    虫だらけの惑星──『昆虫は最強の生物である: 4億年の進化がもたらした驚異の生存戦略』 - 基本読書
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    kkbt2 2016/08/15
    「有害な排泄物を体内に蓄積するのではなく体外に排出したほうがいい」「成虫は自分の子孫と食べ物をめぐって競争せずにすむ」
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