女性被害者への支援が一定程度進んできたドメスティックバイオレンス(DV)は近年、男性による被害相談が急増している。窓口の対応時間が短い上、相談員の理解が足りず適切な対応を受けられない例も。専門家は「男は強くなければならないという価値観から相談できない人がおり、相談者数は氷山の一角だ」として、社会の意識刷新が必要だと警鐘を鳴らす。 警察庁によると、警察へのDV相談件数は2022年、8万4496件で、うち男性の相談は3割近い2万2714件に上り、過去最多だった。男性の相談件数はここ10年で約9・6倍になった。 DVやストーカー問題に取り組むNPO法人「女性・人権支援センター ステップ」(横浜市)は数年前に男性被害者からの相談が相次いだことから、22年に男性専用の被害者支援プログラムを設置した。栗原加代美理事長(77)は「たたかれたり、物を投げられたり、罵倒されたり、女性同様の被害に遭っている」