井川優子さん(45歳、仮名)は大きな電動車椅子に背をもたれ、ゆっくりと私のほうを向いて会釈する。過剰に暖房が効く部屋、膝には毛布がある。電動式の背もたれは、45度程度の角度で半分寝た状態だ。声が小さい。耳を立てながら近づくと、「今日はよろしくお願いしますね」と聞こえる。事前に体調が悪いと聞いていたが、そういう次元ではなく、やっと生きているといった状態だ。 「そんな驚いた顔をしなくても(笑)。カラダが動かないだけですから」 驚く私の表情をすぐ察し、笑いながらそう言う。半分寝たきりの彼女は上品な淑女だった。なんと東大文科III類、最終学歴は東大大学院前期課程修了という。卒業後、臨床心理士として活躍する。 しかし2008年、特定疾患外の難病である慢性疲労症候群(別名:筋痛性脳脊髄炎)を発症し、ほぼ寝たきりにまで症状は悪化。現在のような厳しい状況を迎えた。全身の筋肉と自律神経の機能が低下して、体温
![45歳東大卒シングルマザーの重すぎる試練](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/45a36183d472986e3f9359c99e08ba29e0046f11/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Ftk.ismcdn.jp%2Fmwimgs%2Ff%2F9%2F1200w%2Fimg_f9f9c8cd4e48147a5505c3aa1409d9f1113417.jpg)