研究内容 芽殖孤虫の生態の解明と芽殖孤虫症の治療法の探求 芽殖孤虫症は、芽殖孤虫(Sparganum proliferum)の寄生によって引き起こされる幼虫移行症です。芽殖孤虫症が他の幼虫移行症と決定的に異なる点は、人体内で芽殖孤虫が無性的に増殖を行う事です。人体内で無制限に個体数を増加させた芽殖孤虫は、様々な臓器・組織に移行し、それらを破壊し、臓器不全や二次感染を引き起こします。広範囲に播種した芽殖孤虫を手術で摘出するのは困難であり、有効な化学療法薬も見つかっていないため、芽殖孤虫症は極めて予後不良な疾患です。 芽殖孤虫症は世界でも十数例しか報告されていないため、その詳細はほとんど解っていません。遺伝子解析の結果、マンソン裂頭条虫(Spirometra erinaceieuropaei)と近縁であることは明らかにされていますが、マンソン裂頭条虫は幼虫移行症の原因となることはあっても、人体