時は江戸時代、元禄15年(1702年)、11月。 浅野内匠頭が江戸城内にて吉良上野介へと刃傷事件を起こして一年。 亡き藩主の遺恨を晴らすべく、江戸城下には赤穂の遺臣を名乗る者たちが集結していた──── 「上様! 吉良上野介を討ち果たさんと集まってきた、赤穂浪士と名乗る者たちが江戸の街を騒がせているようでございます!」 幕府側用人として将軍徳川綱吉から絶大な信頼を受けている柳沢吉保(やなぎさわよしやす)がそう報告を上げた。 彼の家来には赤穂浪士を密かに支援している者もいて、情報を得るために吉保も黙認していたのだ。 鬱陶しそうに徳川五代将軍綱吉は言葉を返す。 「幕府の裁定を是とせぬ輩どもめ……それで? 何人ぐらいだ?」 「正確には不明ですが、現在、江戸市中に47万人ほどおります」 「47万!?」 綱吉はのけぞって耳を疑った。 赤穂浪士、47万人が出現したのである! ****** 「待て待て待て
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