大地震、大水害にさいし、歴史文化関係者はなにができるのか。阪神・淡路大震災以来、東日本大震災に至る「歴史資料ネットワーク」の活動を通して、歴史資料保全活動や災害の記憶を伝える資料の保存活動の方法と意味を問う。起こり得る次の災害に備え、歴史資料の価値を市民と共有し、歴史文化の根付いた地域社会づくりを提言する問題の書。 編集者の眼ー震災において歴史学者は何をすべきか? 史料保存の活動団体・史料ネットの代表である著者が、歴史学者が震災において果たすべき役割についてまとめたもの。①歴史資料の保全活動、②震災資料の収集、③地域とのネットワークの構築の3本の柱から、震災にも負けない社会づくりを提言している。氏は、憲法論など近代史の専門家だが、戦後歴史学が共有していた「敗戦」というタームが無効になってきたことが、歴史学の衰退につながったのでは、と述べている。ただ、神戸では、震災後に様々な地域社会や歴史研