「69回目の夏」に〜加藤紘一氏、ミャンマーへの旅 【2014年9〜10月号】 ●振り絞るように 会社に着くと、届いたDVDが机の上に置いてあった。加藤紘一氏と古賀誠氏、2人の元自民党幹事長がミャンマーを訪れた様子を、同行した秘書が撮ったものだった。 この、ミャンマー訪問の前日(6月27日)が『時事放談』収録の日だった。加藤氏については番組発足以来さまざま出演してもらったが、その後、大病されたことで出演は見合わせていたのだ。そんな中、集団的自衛権にからむ小さなインタビュー記事で加藤氏が語っていることが目に付いた。「僕の田舎の後援会事務長は16歳で少年兵になった。朝飯を一緒に食べた同期の仲間が隣で頭を打ち抜かれて死んだ。いずれ自分も死ぬ。その前に恋がしたい。それで慰安所に行った。むしろの仕切りの中に入ったら、朝鮮の女性がいたそうだ。『申し訳なかった』。戦後、心の中で女性に謝り続けていたんだ。僕