人間たちの暴走が森の小さな妖精たちの小さな幸せを奪ってしまった日から、もう10年あまりが過ぎただろうか。 その日、焼き払われた森の中でかろうじて形を保っていた『森のお家』に一人の女が現れた。彼女の名はコロコロ。そう、10年前に住処であるこの森に起こった惨劇以来、行方のわからなくなってしまった妖精たちの一人だ。 あの頃は毎日のようにここに座って友達とお話をしていたっけ。 美しく成長した彼女は、そう言って切り株の椅子やテーブルを感慨深げに眺めている。 いまさらこんなところにきても、なにもないのに。 いつまでも過去に囚われて感傷に浸っていてどうするんだろう。 そんなとき、コロコロはピクピクがかつて使っていた魔法のステッキを見つける。 自嘲の笑みを浮かべるコロコロに、しかしステッキは魔力の反応を以て答える。 気づけばそこは『メンタルとタイムのルーム』だった。 そこは、かつての見る影も無い外の森とは