ニューヨーク市ブルックリン区のサンセット・パーク付近の路上に赤いフォード・エコノラインが放置されていた。男がそのバンに近寄ってきて、周りに人がいないことを確認する。男はまもなくロック解除に成功し、ドアを開けて中に乗り込む。7月3日の午後5時ごろのことだった。 まず目に入ったのは数個のガソリン缶。そして発砲スチロールの容器。よく見ると、その容器には正体不明な物質が詰められており、そこから電線やスイッチらしきものが外にはみ出している。 それが何を意味しているか、男にはすぐにわかった。 エコノラインが放置されていた53番街路とセカンド・アベニューの交差点付近には、褐色砂岩張りの建物が建ち並んでいる。バレエ・スタジオもあり、幼い女の子たちも通っている。イスラム教徒の子供たちが通う小さな学校もある。 爆弾は時限式でもうすぐ爆発しようとしているかもしれない。こんなところで爆弾が爆発したら、大勢の子供た