国家プロジェクトとして新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が展開している人工光合成の研究事業が2021年度、事業期間10年の最終年度に突入する。日本が得意とする材料技術を駆使して課題を乗り越え、目標到達が見えてきた。順調にいけば太陽光エネルギーを使って水と二酸化炭素(CO2)からプラスチック原料をつくる“究極のエコプラント”が実用化に近づく。 人工光合成プロジェクトはNEDOが主導し、三菱ケミカルや国際石油開発帝石などが参画する技術研究組合が東京大学などと開発に取り組む。12年―21年度の研究費は総額145億円を見込む。 植物の光合成は太陽光エネルギーを使って水とCO2から酸素と炭水化物(でんぷんなど)を合成する。NEDOなどが開発する人工光合成は太陽光で水から水素を生成し、CO2を合成させて化学原料となるオレフィンを作る。CO2は火力発電所や工場の排ガスから回収し、温暖化を抑制