思えばこれまでの松永の場面は、光秀とのシーンがほとんどでした。1年半以上ずいぶんと長い間、長谷川くんとお芝居をしてきたのだなと思うと感慨深いものがあります。ふたりの最後のシーンでは、堺で初めて出会ったころの光秀がふとよみがえりました。特に『戦などしたくない、平蜘蛛(ひらぐも)などいらない!』と言い放った光秀に、若いころをもう一度見たような気がして、グッと胸に迫るものがありました。 信長を見すえながら自ら腹を裂くというシーンでは、自分自身の本能の赴くままに演じました。その結果、信長に対する咆哮(ほうこう)をあげながら息絶えるという演技になりました。最初、爆死ではないことに少しがっかりしましたが(笑)、今では池端先生らしい解釈の最期を演じられたことを心から良かったと思っています。 松永の最期の心情には「光秀よ、ありがとう!」という思いが、どこかに含まれていたことをくみ取っていただけたらうれしい