一般家庭から馬の世界へ 「死んでしまったか……」 動かなくなった白い馬体をみて、池本啓汰はそう思った。 その後、物語が思わぬ方向へ転がるとは考えもつかず、涙が溢れた。 1994年5月生まれの28歳。兵庫県加古川市で三人兄弟の次男として育てられた。競馬とは無縁の家庭だったが、実家の裏に牧場があった事だけが、彼を馬の世界へいざなった。 「大浦牧場という小さな牧場でしたが、ポニーがいて、よく遊びに行きました。当時は体が小さかったので、騎手になりたいと考えていました」 中学生になると、体が大きくなり、騎手は断念した。しかし、馬の世界で働きたいという気持ちは持ち続けたため、卒業と同時に「馬の学校 アニマル・ベジテイション・カレッジ」に入った。 「通信制の高校で勉強をしながら、本格的に馬乗りを教わりました」 2013年3月にアニベジを卒業すると、4月から大山ヒルズで働いた。 「自分の都合で半年ほどしか
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