愛くるしいフォルムで我々を魅了してやまないUAZ製バン。ロシア国外でも高い人気を誇り、ジャケットに登場したり、SFマンガに出演するなど、日本文化にもよく溶け込んでいる。一時は日本でも購入可能で、敢えてロシア車に手を出す奇特な日本人オーナーは、ロシアの国営放送に取り上げられたほどだ。現地では、食パンを意味するブハンカ(Буханка=一斤)という愛称で親しまれ、1965年の登場以来、半世紀にわたり東側の営みに寄り添っている。ところで、UAZとは車名ではなく社名だ。Ульяновский Автомобильный Завод(ウリヤノフスク自動車工場)の頭文字を取ってУАЗ(ワズ)と略され、いつの間にか我が国ではブハンカの代名詞となった。 サハリン西海岸を快走する178系統 本題に入ろう。かつて流刑地とされ、また一時期は樺太と呼ばれた島サハリンには、ブハンカによって運行されるバスがある。西海