日本一の高さを誇る世界文化遺産、富士山。今シーズンは国内外からの登山者による大混雑が起きた。9月10日の閉山までの約2カ月間に、登山者は22万1322人。新型コロナ禍前の2019年とほぼ同水準まで回復した。 「活気ある富士山」が戻った一方で、非常識な振る舞いやマナー違反も続出している。そこら中に捨てられた大量のゴミ、夜通しで頂上を目指す「弾丸登山」をピクニックに行くような軽装で上り始めた挙げ句、「寒いから」と勝手に山小屋のトイレに入り込んだり、救助されたりしたケースもある。 観光客が過剰に訪れて環境や住民生活を脅かすことは「オーバーツーリズム」と呼ばれる。来年も多くの観光客が見込まれ、地元の自治体からは「最悪の場合は世界文化遺産の登録を抹消されかねない」と懸念の声が上がる。山梨県や静岡県は、登山者の抑制やマナー違反への対応に頭を悩ませている。一体、どうすればいいのか。(共同通信=味園愛美、