ディアスポラ(diaspora)――。戻れる地域がなくなり、安全な土地を求めて転々とする「離散定住集団」のことである。 原発事故が収束するメドが立たず、放射能の影響も分からない中で、住民が安全や安心を求めて転々と移る「ディアスポラ的状態」になる可能性を懸念する声が、被災地域の人々や行政担当者から聞こえてくる。その上、原発周辺の市町村役場自体も、本来の地域から離れて臨時支所を開設、このまま住民が分散し続ければ、自治体が解散したり合併する可能性もある。 県によると、4万6000人を超す人々が福島県を離れて暮らしているという。ただし、行政に届け出ていない人の自主避難者や一時疎開・避難者もカウントされれば、実態として行き場を模索している“潜在的難民”や“ディアスポラ”の数は相当膨れ上がるはずだ。 国は、各地での除染活動で放射線量が低減されれば、原発から20km圏外の緊急時避難準備区域を解除して、住