ドイツ北部で見つかったオオコウラナメクジの仲間(Arion属)。知らず知らずのうちに線虫を飲み込んで自分の腹の中で運んでいたことが明らかになった。(PHOTOGRAPH BY CAROLA PETERSEN, HINRICH SCHULENBURG, KIEL UNIVERSITY) エコノミーシートの座り心地も最悪だが、ナメクジの腹の中はどんな具合なのだろう。その腹に潜んで旅するムシがいるというのだから驚きだ。 オオコウラナメクジの仲間が腐敗した植物を食べるとき、一緒に小さな線虫を飲み込むことがある。すると、研究のモデル生物として人気の線虫カエノラブディティス・エレガンス(Caenorhabditis elegans、通称C.エレガンス)は、飲み込まれても消化されることなくナメクジの腸内で生存し続け、時には遠く離れた場所で外に排泄される。 こうして線虫は自力ではたどり得ない遠距離を旅し、