情報技術そのものではなく、文脈の中に発見されるもの 承前。「メディア」とは何か。この問いも多くの人にとって様々なイメージが思い浮かびやすい。しかし、私は常に社会学的観点からの「メディア」定義を自分の頭の中で採用するようにしている。とりわけ『ソシオ・メディア論』と呼ばれる、メディア系の社会学者の間で使われる視点、である。この視点においては、「情報技術」がすなわち「メディア」ではない。多く一般的には、情報を伝える技術こそが「メディア」である。それゆえ、無意識に情報送信・共有・記憶するデバイス類はメディアと称されるが、少なくとも私にとってそれはメディアではない。情報技術であれ、その他の「何か」であれ、あるモノが社会経済的文脈の中で埋め込まれる「様態」。それが「メディア」なのだ。 例えばメディア論の始祖と言える、マーシャル・マクルーハンの視点では、自動車は「人間の足を拡張するメディア」である。わか
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