太田 今回、小説としては2作目になるんですが、前著『マボロシの鳥』を書いている途中から並行するような形で進めていたんです。ところが、その途中で去年の震災が起こり原発問題もあった。そのとき、我々の持つ文明とはいったいなんだろう、と考えるようになって小説の焦点がぐっと「文明」というテーマに寄っていきました。 最初は『大丈夫、きっと明日はできる』ってタイトルだったんですけど、出版社のほうと宣伝の方向でいろいろとトラブルがありまして、まぁ『文明の子』というタイトルに落ち着いたんですけど。 ──今回の小説のアピールポイントは? 太田 前作は短編集だったんですけど、これが文壇にボロクソに言われましてね。「ちっとも面白くない」って豊崎由美に言われてしまって、非常に悔しい思いをしました。一般の読者からも次は長編小説を読みたいって声も多かったんで、今回は短編風の形でありながらうっすらと全体の物語がつながって