ドラマの一話というのはとても大事だ。ストーリーが面白いというだけじゃなく、登場人物のキャラクターの紹介、世界観、テーマ、ルールを提示しつつ、謎を秘めさせ、それらの全てを50分ほどに詰め込ませなければいけない。そのためにセリフが説明臭くなってしまったりすることもある。視聴者それぞれの及第点を超えて初めて、二話を見てもらえる。 一話だけで評価するという意味でいえば「泣くな、はらちゃん」の一話は百点だった。 もちろん、それ以降の話も連続ドラマである必要性に満ちた素晴らしい作品になっている。 ゼロ年代で散々こすられてきた郊外よりももっと田舎の、去年一番の町のイベントが、ラッシャー板前が土曜の朝に中継で来たことのような、冷たい潮風が吹きすさぶ港町のかまぼこ工場で越前さんは働いている。仕事は単調で、人間関係も円滑ではない。 そんな越前さんの唯一であろう憂さ晴らしは、漫画を書き、登場人物のセリフを借りて