昔からの友人に、いわゆる「ドラマクイーン(drama queen)」 [1]訳注:芝居がかった大袈裟な言動で過剰に騒ぎ立てる人を指す表現。「悲劇のヒロイン」のニュアンスに近い。 がいる。といっても、泣き叫んだり人を怒鳴りつけたりするといったステレオタイプな意味でのドラマクイーンだったわけではない。彼女は教養と知性のある女性で、その行動は非常に目立ちにくいものだった。実際あんまりにも目立ちにくいので、彼女の問題に何年も気づけなかったほどだ。 彼女は常に、人間関係の複雑な網の目の中心人物だった。その人間関係はいつも不安定で、常に「何か」が起こっており、彼女はそうした問題について熱心に語りたがった。彼女の話に引きずり込まれないようにするのは至難の業だった。知り合ってから最初の10年くらいは、彼女がそうした問題について語る度に、私も熱心にそれを聞いて、様々な視点から問題を検討し、あり得る解決策をい