訓読 >>> 一日(ひとひ)こそ人も待ちよき長き日(け)をかくのみ待たばありかつましじ 要旨 >>> 一日ぐらいなら待たされてもよろしいけれど、こんなに幾日も長く待たされたのでは、とても生きてはいられない気持ちです。 鑑賞 >>> 巻第4の巻頭歌。題詞に「難波天皇(なにはのすめらみこと)の妹(いもひと)、大和に在(いま)す皇兄に奏上(たてまつ)る御歌」とあり、仁徳天皇の異母妹の八田皇女(やたのひめみこ)が、天皇である兄にさし上げた歌とされます。 仁徳天皇には、当時、大和最大の豪族だった葛城氏出身の磐姫(いわのひめ)という皇后がいましたが、これは、天皇家が王権を維持するために葛城氏の力と結託しようとする政略結婚だったといわれます。しかし一方で、天皇家の血脈を守るために、八田皇女を妃にするべきとの考えがあったようで、八田皇女の実兄も、是非とも妹を妃にしてほしいと、仁徳天皇に頼んでいました。磐姫