日本が抱える問題の“正体” 近著『戦後史の正体』(創元社刊)が20万部を超えるベストセラーとなっている元外務省国際情報局長の最新刊は、〈皆さんは、「日本の総理大臣」は誰が決めているのか、ご存知でしょうか?〉という奇妙な問いかけから始まります。 多くの読者は、国民の意思に基づいて国会で選出されるに決まっている、と思うことでしょう。ところが著者は、戦後日本では、国民の与(あずか)り知らぬところで総理の首がすげ替えられる歴史が繰り返されてきたと言い、その理由をこう分析します。〈失脚した政治家は、おしなべてアメリカを激怒させる“虎の尾”を踏んでいました〉 著者はその例として、岸信介や田中角栄、小沢一郎と鳩山由紀夫を挙げます。果たして、彼らが踏んだ“虎の尾”とは何だったのか。本書は、そうした「アメリカに潰された政治家たち」の系譜を辿(たど)ることで、“戦後最大の対米追随”と呼ばれる現政権が誕生した背