喉がしきりに渇いた。喫茶店で向き合った辺見庸さんの問いに、即座に答えられずにいた。 「現在は平時か。僕は戦時だと思っています。あなたが平時だと思うなら、反論してください。でないと議論はかみあわない」 安倍晋三政権が集団的自衛権の行使に向け、憲法解釈を変えようとしている。なりふりかまわぬ手法をどう見るか、そう尋ねた後だった。 「十年一日のようにマスメディアも同じような記事を書いている。大した危機意識はないはずですよ。見ている限りね」。いらだち混じりの口調。低くゆっくりとした声が耳の奥深くに重たく響く。 「日中戦争の始まり、あるいは盧溝橋事件。われわれの親の世代はその時、日常生活が1センチでも変わったかどうか。変わっていないはずです。あれは歴史的瞬間だったが、誰もそれを深く考えようとしなかった。実時間の渦中に『日中戦争はいけない』と認められた人はいたか。当時の新聞が『その通りだ』といっ
作家辺見庸さんの「資本主義が問われている 重層的危機が人の内面も壊す」という話が、赤旗(5.26付)の文化欄「シリーズ・現代の視点」で紹介されている。 電子版には載ってないので、かいつまんで紹介します。 辺見庸さんは、ご存知のように戦場取材をしたジャーナリストから芥川賞作家になった方だ。 1990年代初め頃より、「新しい貧困」と「自殺」の2点に関心を持ち始めたと言う。 今、凄まじい勢いでプレカリアートという「新しい貧困」が増え続け、一方で年間3万人以上という自殺者が11年間も続いている現状に、「僕は、アフガン、イラクパキスタンなど戦場取材をしてきたが、そういう戦争の死者を上回っている日本は、異常な社会に突き進んでいるのではないか、病気で言うと、重篤になっている」という。 そして、マルクスの「(資本主義では)物質的価値が増大すればするほど、人間世界の価値が衰えていく」という分析に触れ、「資
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