今から呉智英の吉本隆明批判本がいかにヒドイかということを検証していくのだけど、呉智英をエライと思っている(いた?)人間としては、呉がアホだと証明していけばいくほど、こちらもアホだということになり、非常に気分が暗くなる作業なのである。 この本の一番不愉快な部分は呉の都合のよい吉本像に、さりげなくミスリードするやり方。 例えば「かつて吉本は戦後思想家ベスト3の一人だと語り、自著読書ガイドで吉本の「共同幻想論」を重要とした呉智英は、吉本の死後すぐ彼についての本を出した」と書いて、事実誤認はない。しかしここには呉智英が吉本信者であるかのような印象を与えようとする悪意が後ろにある、そう、正確には「客観主義的な言い方をしますと」というフレーズが「ベスト3に入る」という見解の前についている等々。こういうやり方はあまりフェアなものだとは思えない。ところが呉はそのようなちまちまとした印象操作をうすーくちりば