先日、あさりのホニャホニャうどんをいただいたときの話。 実際のメニューの名前は、たしか単に「あさりうどん」だったはずだが、あさりの味が薄かったので、あさりとうどんの間に「ホニャホニャ」という緩衝地帯を設けておかないとわたし的におさまりがつかない。そもそも味がしないのに殻だけは一人前につけているところが少々気に入らなかった。漁港のそばで定食とともに供される蟹の味噌汁と概ね同罪で、罪名は「海っぽい気分だけを味わせた罪」。ただひとつだけよいことに、あさりのうちの一匹の模様がまるで水墨画のようだったのだ。 念のため書き添えておくと、あさりの模様のすべてがこのように美しいわけではない。わたしはあさりをいただくときは、ひとつひとつ模様を確認しながらいただくという、人畜無害だが悪趣味な習性を持っているのだが、そのわたしの経験上、ほとんどのあさりの模様は退屈である。 念のため白黒にして、より水墨画度を高め