それまで当たり前だと思っていたことが違っている。思わず「あれっ!」と叫ぶ。この「あれ」は、ふつう「あ」がより低く、「れ」がより高い。つまり「あ」から「れ」にかけて声の高さが上昇する。上昇調である。 もっとも、「あれ、そのようなことを。なりませぬ、なりませぬ」などというセリフでは、「あれ」は「あ」がより高く、「れ」がより低い。これは「あ」から「れ」にかけて声の高さが下降する、下降調である。 最初に挙げた上昇調の「あれっ!」は、多くの人に発せられる。その一方で「あれ、そのようなことを」の下降調の「あれ」は、『時代劇のお嬢様』のことばといった特殊なイメージがある。(「まろは~でおじゃる」としゃべる『平安貴族』キャラのようには時代が限定できないので、ここではあえて『時代劇の』としておく。) つまり、上昇調で発せられる驚きの「あれ」は、話し手のキャラクタが多様で特定しにくいのに対して、下降調で発せら