震度7の地震なのに、震度6としか記録されなかった地震がある。 その地震は福井地震(1948年)。マグニチュード(M)は7・1。九頭竜(くずりゅう)川の柔らかい堆積物がたまった福井平野の北部では98-100%もの家が倒壊してしまった町や村もあった。 地震が起きたのは夕方だったので屋外で農作業をしていた人も多かったが、それでも3800人余の犠牲者が出た。そのほとんどは福井市と坂井郡(現坂井市)に集中していた。人口比でいえば日本史上最大級の死者を生んでしまった。 ところで、この地震が起きたことを東京の気象庁(当時は中央気象台)は翌日まで知らなかった。 当時は地震計の記録は現在のようにオンラインで東京に送る仕組みはなく、震度だけを東京に電報で知らせることになっていた。 福井県には福井地方気象台に地震計が1台あるだけだった。第二次世界大戦後3年しかたっておらず、この気象台も大戦での米軍の空襲で全焼し