今村雅弘復興相が辞任した。 この4月の25日に、東日本大震災について「東北でよかった」などと発言したことの責任を取った形だ。後任には衆議院の東日本大震災復興特別委員長で、環境副大臣などを務めた自民党の吉野正芳氏が指名されている。 当然の判断だと思う。 ただ、辞任の経緯には、釈然としないものを感じている。 以下、説明する。 辞任の直接のきっかけとなった25日の発言が、無神経かつ粗雑な言葉だったことは間違いない。多くの人が既に指摘している通りだ。 とはいえ、大臣を擁護する意味で言うのではないが、今村氏の発言の真意は、 「地震が東北で起こったことはめでたいことだった」 「東北が地震被害でめちゃめちゃになったことは歓迎すべき事態である」 というところにはない。 彼が本当に言いたかったのは 「首都圏で同じ規模の地震が起こったらもっとひどい被害が出る」 「われわれは東北での被害を教訓として、いずれやっ
医療情報サイト「WELQ」の記事が11月29日以来、非公開になっている。 WELQを運営しているディー・エヌ・エー(本社:東京都渋谷区、代表取締役兼CEO:守安功)の説明によれば、掲載記事の信憑性について医療関係者から疑義が寄せられていることを受けての措置だという(日経電子版のニュースはこちら)。さらに本日(12月1日)、社長名で「9つのキュレーションメディアの非公開化と社長の減俸処分」を発表した(こちら)。 まあ、当然ではある。 というよりも、数日前からの経緯を踏まえて考えるなら、配信停止の判断は遅すぎたと言って良い。 私がこのたびのWELQについてのニュースを知ったのは、例によってツイッターのタイムラインでの騒ぎを通してだったわけなのだが、考えてみればこのこと(私がツイッター経由でこのニュースに触れたこと)自体、WELQが引き起こしている状況と無縁ではないのかもしれない。どういうことな
日経ビジネスオンラインでは、各界のキーパーソンや人気連載陣に「シン・ゴジラ」を読み解いてもらうキャンペーン「「シン・ゴジラ」、私はこう読む」を展開しています。 ※この記事には映画「シン・ゴジラ」の内容に関する記述が含まれています。 「シン・ゴジラ」で活躍するあの意外な車両。流し込むのは本来の用途であるコンクリートではないが、その勇姿は映画を見た我々の目に鮮やかだ。コンクリートの専門家である法政大学の溝渕利明先生(法政大学デザイン工学部都市環境デザイン工学科教授)、そして『モリナガ・ヨウの土木現場に行ってみた!』で溝渕先生とコンビを組んだイラストレーター、モリナガ・ヨウさんに、映画の感想を聞いた。 で、軽い気持ちで研究室にお邪魔したら、意外にも、溝渕先生はかなりのゴジラマニアで…。 ちなみに新刊の『図解絵本 工事現場』は、『土木現場に行ってみた!』を底本に、判型を改めて大きな絵で見られるよう
テレビの出演依頼が来た。 詳しく述べると、3日ほど前、連載を執筆している雑誌の編集部を通じて、とある地上波民放局の昼の時間帯の情報番組が、出演を打診して来たのだ。依頼は、電話の後、転送メールの形で、私のアドレスに届いた。 メールに添付されている番組企画書によれば、東京五輪についての討論企画に、論者の1人として参加してほしいということのようだ。 半月ほど前にも、ほぼ同じ内容の出演依頼が、ネットテレビ局の番組制作者から届いている。 偶然とは思えない。 ここは、落ち着いて考えなければならない。舞い上がってはいけない。 私のような“マイナー文化人”に声がかかるのは、それほど東京五輪の開催に反対論を唱える側の人材が払底していて、局の人間が人選に困っているからだと、ぜひ、そういうふうに、現実的に受け止めるべきところなのだ。 もっとも、東京五輪にネガティブな気持ちを抱いている日本人は、そんなに少なくない
4月7日、セブン&アイ・ホールディングスの2016年2月期決算を説明する記者会見の会場は、異様な雰囲気に包まれていた。 かねて、同社の鈴木敏文会長兼CEO(最高経営責任者、83歳)は、傘下でコンビニエンスストア事業を手掛けるセブン-イレブン・ジャパンの井阪隆一社長兼COO(最高執行責任者、58歳)に対し、退任を求めてきた。4月5日に開かれた指名・報酬委員会では、井阪社長の退任と新たな人事案について、鈴木会長とセブン&アイの村田紀敏社長兼COO(最高執行責任者、72歳)、社外取締役2人の計4人が、5時間に渡る議論を重ねた。それでも結論は出ず、7日の取締役会で、井阪社長の退任を含めた人事案が諮られることになった。 結果は、賛成7票、反対6票、白票が2。取締役15人の過半の賛成を得ることができず、鈴木会長の提案した人事案は否決された。これを受けて、鈴木会長は退任を決意したという。午後4時半から開
テレビの情報番組などでコメンテーターとして活躍していた男性が、経歴を詐称していたということで、ちょっとした騒ぎになっている。 この2日ほどのうちにいくつかのメディアが報道した内容を総合してみるに、件の人物の詐称はなかなか念が入っている。最初の学歴からはじまって、留学経験、MBA資格から、経営コンサルタントとしての業務実態、年商、オフィスの住所、本名、出自に至るまでの一通りの要素が「ウソ」であったことが既に明らかになっており、「イケメン」として厚遇される理由になっていた顔も、美容整形の結果である可能性が濃厚なのだという。 この結果に世間が驚いているのかというと、もちろん驚いている人たちもたくさんいるのだが、ネット内の評判では 「そんな気がしていた」 という声が、意外なほど大きい。 「最初からあやしいと思っていた」 「一目見てうさんくさいヤツだと確信していた」 「あの鼻はなにごとだと常々不審に
この月曜日の夜、フジテレビが通常の編成を急遽変更して全国放送したSMAPの面々による謝罪の生中継は、平均で31.2%、瞬間最高で37.2%の視聴率を記録したのだそうだ(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。 昨今の地上波放送の数字としては、異例の高視聴率だ。それだけ、視聴者の関心が高かったということなのだろうが、私の見るに、この数字のもうひとつの意味は、テレビの役割が、既に「そういうもの」を映す方向に変化しているということだと思う。 「そういうもの」とは、具体的には「生謝罪」のことだ。 21世紀のテレビは、「歌」や「芸」や「ニュース」や「ドラマ」のような「作り手が手間をかけて作りこんだ表現や作品」よりも、テレビタレントや犯罪被害者による「素」の「会見」や「謝罪」のような、「生身の人間の赤裸々な個人情報」を映し出すことに重心を移しつつある。良いことなのか悪いことなのかはわからない。ただ、われわれは
「いい競争で、いいサービスを。」――。 宅配業界首位のヤマト運輸は2015年11月12日、こう訴えた意見広告を全国54紙に掲載した。業界3位の日本郵便が国から受けている優遇措置が、公平公正な競争環境を阻害するという内容のものだ。 意見広告と同時に特設サイトを開設(「いい競争で、いいサービスを。」)。一般利用者からの意見を募り、12月15日時点で2000件以上の声を集めた。 宅配各社は取り扱う荷物の数こそ増加基調にあるが、人手不足によるコスト高の影響などで、利益を生み出しづらい状況が続いている。こうした環境の中で、意見広告を出した真意とは。ヤマト運輸を傘下に持つヤマトホールディングス(ヤマトHD)の山内雅喜社長がその思いを語った。 (聞き手は日野なおみ)
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