法廷で強姦(ごうかん)罪に問われた被告が言う。「レイプ事件はどの国でも起きている」「性的衝動を抑えるためにやった」。こうした弁明は、犯した罪に向き合おうとせず、正当化するものとして、判決では厳しく指弾されよう。弁護士ならずとも分かることだ。 日本維新の会共同代表、橋下徹氏が言っていることは、これと同様だ。 戦時中の旧日本軍の従軍慰安婦制度について、「必要なのは誰でも分かる」「当時は世界各国が制度を持っていた」と語った。 歴史認識の問題以前に性暴力の肯定につながる、人権意識を著しく欠いた発言だ。本音を語ったつもりだろうが、そうした本音を持つ人物が政治家を務めている異常さに気付いていないという意味で二重に戦慄(せんりつ)する。 橋下氏は強制的に慰安婦にさせられた証拠はないと主張し続けてきた。今回の発言でも「日本が不当に侮辱を受けている」と強調している。 だが、慰安婦問題の本質は強制性