1962年のデビューから1969年の解散以降も、時の洗礼をものともせず今なお世界中で聴き継がれているビートルズの音楽は、それ自体が録音技術の高度化を基にしたポピュラー音楽における創造性の追究と革新への挑戦であったと同時に、音楽の聴取環境の変化の歴史とも軌を一にする。特に60年代前半における「ステレオ盤」は立派なサウンド・システムを自宅に完備するクラシック音楽やジャズの好事家向けとして存在し、ビートルズに熱狂した当時のティーンエイジャーのような一般的なリスナーが夢中になっていたのはモノラル盤の音だった。ビートルズのほとんどの音源もリリース当初からステレオ/モノラル両盤発売されていたものの、1967年ごろまではメンバー自身もモノラル盤を重視していたようだ。 1987年のオリジナル・アルバム初CD化ではデビュー作から4枚目の『Beatles For Sale』まではモノラル、『Help!』以降は
![初期ビートルズ音楽の魔法のエッセンスがより濃密になった入門編、『赤盤』の新装版 | TURN](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/acd08b2e90ef6e0b9c5011738b58ebfaeca7a19c/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fturntokyo.com%2Fwp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2023%2F12%2F1-1.jpg)