「ねー。おとうさんって昔コンビニでアルバイトしてたんでしょ?」 娘たちの何気ない質問に、わたしはとあるコンビニでバイトをしていた高校時代に思いを馳せた。 そして思い出すことになったのだ。わたしが後に憎しみを込めて『スケルトン子』と呼ぶことになる、あの女のことを。 「一緒にバイトしない?」 同じクラスのTに誘われたのは、高校一年生の時だった。Tのお兄さんはコンビニで店長をしていたが、バイトが立て続けに辞めてしまい、お店は急な人手不足に陥っていた。バイトの募集はかけたが状況は芳しくなく、お兄さんに泣きつかれたTが、わたしに白羽の矢を立てたというわけだ。 『白羽の矢』とは、神に捧げる人身御供となる少女が住む家の屋根に立つもの。いわば犠牲者として選ばれた印だ。その意味の通り、わたしにとってコンビニという接客業への誘いは、まさに人身御供に等しかった。 なぜなら当時のわたしは、中ランとボンタンに身を包