toikimi.hateblo.jp (こちらの掌編に出てきた泰一郎君が、少しだけ再登場します) 銀ひげ師匠の職業は書道の先生だが、本業は魔法使い、晶太はその弟子である。特に公表はしていない。 けれど、書道教室に通う泰一郎君が、小耳にはさんだ噂話を真に受けて、魔法使いの弟子入りを志願してきたことがあった。 一番弟子として晶太も参加した面接は、いつのまにか恋愛相談に変わり、弟子入りの話は立ち消えた。泰一郎君は、銀ひげさんの微妙な魔法で煙に巻かれて帰って行ったが、それでも、しばらくして告白に踏み切ったようだ。 晴れて意中の人、明里さんとおつきあいを始めた。 「案ずるより産むが易しとは、このことだね」 と、師匠は言っている。 その泰一郎君が、ふたたび相談事を抱えてやってきた。 泰一郎君の家は伝統芸能の家元で、広い稽古場がある。稽古場といっても、発表会の舞台にもなる立派な部屋で、控えの間が三つも付