鈴木信彦さんが昨日なくなられた。私より2歳年上だから、働き盛りである。昨日知らせを受けたときは、ただただ驚くだけで、事実を受け止めかねた。その後今日の夕方まで、あわただしく時間が過ぎていった。研究室を出て、大学構内を歩いているときに、悲しみがこみあげてきた。 鈴木さんは九大理学部生態学研究室で大学院時代を過ごされ、ギシギシの葉を食べるハムシ類の資源利用と共存に関する研究で、博士の学位を取得された。私は鈴木さんの出身研究室に教授として着任したことから、鈴木さんと親しくおつきあいさせていただくようになった。私の着任当時は、ウマノスズクサとジャコウアゲハの関係を研究されていた。ウマノスズクサの葉には猛毒(アリストロキア酸と呼ばれるアルカロイド)が含まれているが、ジャコウアゲハの幼虫はアリストロキア酸をある程度解毒でき、自らを天敵から守る防御物質として利用する。しかし、アリストロキア酸を大量に吸収