利益相反はいつの時代でもやっかいな問題だ。典型的なのは政治家で、「国民のため」などといいながら、公共事業の発注と引き換えに建設会社からキックバックをもらったりする。言語道断だが、同様の行為は社長に任命された監査役とか、製薬会社から接待漬けにされた病院長とか、枚挙にいとまがない。残念なことに金融業界も例外ではなく、世界金融危機以降、利益相反の巣窟と見なされている。 もちろん監督官庁も手をこまねいているわけではない。不道徳な慣習をやめさせる武器は「情報開示」だ。「手の内を知られているなら、ダマすことなどできないはずだ」というのはたしかに一理ある。だがこれは、ほんとうに効果があるのか。 行動経済学者のダン・アリエリーは、次のような興味深い実験を紹介している(『ずる』早川書房)。 ある参加者は、小銭の入ったビンを一瞬見せられ、金額をより正しく推測することで報酬が支払われた。これを「推測者」としよう
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