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ブックマーク / erlkonig.hatenablog.com (5)

  • 一人の作家が一生に一度しか書けない渾身のダークメルヘン - 沙藤一樹『X雨』 :: 魔王14歳の幸福な電波

    おとなり言及 見下げ果てた日々の企て コズミックサーフィン 水川書房 地吹雪日記 再々読。私が長編小説を再読するなんて、数年ぶりかもしれません。「持たざる者」になってしまった子供たちの逃れがたい業を描いた暗黒童話、ダークメルヘンとでも言いましょうか。 私が一冊だけ人に小説を薦める権利を得たなら、迷わずこの作品を選びます。どのくらい凄いかと言うと、普段はやらないおとなりページへのリンクまで貼って「読め、読め」オーラを出すくらいに凄いのです。明らかに売れてなさそうな上に既に七年前の作品なので、入手は困難ですけれど……。 一人の作家が、その全存在を一冊のに叩き込んだという感じ。確実にLPを5は消費してそうな凄絶な作品なのです。もちろん極限効果つき。実際この作品が出てからというもの、沙藤さんは以前にも増してめっきり寡作になりました。*1 毒の強さ、胸残りの悪さという点で、方向性は違いますがその強

    一人の作家が一生に一度しか書けない渾身のダークメルヘン - 沙藤一樹『X雨』 :: 魔王14歳の幸福な電波
  • 『MOON(1) 昴 ソリチュードスタンディング』 - 魔王14歳の幸福な電波

    MOONというタイトルが、バレエの美しさによって月面人と心を通じ合わせるという壮大なエンディングへの伏線であっても、もう私は驚きません。 プロダンサー編が始まるときは、新天地での新しい舞台を環境から登場人物からと丁寧に描写し直していましたけれど、今回はもういきなりお話を進めてますね。どんな環境だろうと昴さんがやることは同じなのだという感じで、新たなスカウト主の説明もろくにないままひたすらダンスダンスダンス。 曽田さんは、昴さんの凄さを描写するためならなんだって利用します。今回も、盲目のニコさんがラストでどうにかなってしまったようですし。そのうち、「バレエの力で紛争を解決しました」とか「余計に酷くなりました」とか、そのレベルのことを気でやりそうな気がします。 普段は平気でレッスンをブッチするくせに、ときどき昴さんが垣間見せる強烈なプロ意識はなんなんだろうと思っていたんですけれど、このブレっ

    『MOON(1) 昴 ソリチュードスタンディング』 - 魔王14歳の幸福な電波
  • 中二病を見下すな - 暗黒エネルギー - 魔王14歳の幸福な電波

    痛いニュース(ノ∀`):不登校の女子中生、ファンタジー小説を“自費出版” 魔法世界にさらわれた主人公の恋と冒険のストーリー 久々にストレートに腹が立ったので感情的に書き殴ります。(1/16追記:文芸社の共同出版の形態がマズいという話についてはid:kanoseさんのとこのこの記事をどうぞ) エターナルフォースブリザードが面白いのは、最後に脈絡もなくくっ付く「相手は死ぬ」などの変な言い回しのためです。「光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士」も同じ系列でしょう。邪気眼やラ・ヨダソウ・スティアーナは、フィクションの格好良さに憧れるあまり表面だけその真似をしてしまうというところにおかしさがあります。 これらの設定はよく面白おかしく語られますが、実のところそんな珍しいものでも幼稚なものでもありません。何でもいいから思いついた作品の要素をちょっと箇条書きにしてみれば、そのことが分かるでしょ

    中二病を見下すな - 暗黒エネルギー - 魔王14歳の幸福な電波
  • 「調教」される「批評家」たち - 魔王14歳の幸福な電波

    (美少女ゲーム年代記 - 魔王14歳の抱き枕に書いたのと同じ内容です) 批評者の言葉が創作者から見て的外れになりがちなのは、ひとつには、その仮説を実証する機会がほとんどないからという理由が挙げられると思います。実際の人間を相手にしている創作という活動は"例外が多い"ということにかけてほとんどスポーツみたいなものです。よりよい創作を行うためには、実験によって常に理論を修正し、それが追いつかない複雑な部分は身体感覚でカバーするしかないわけです。 自分でものを作るという作業に携わらない以上、批評者は「作品を作る際の自分の感覚」と「作品を鑑賞した者の反応」を照らし合わせるということができません。批評者には、後者の"外から観察できる反応"しか知ることができないのです。言葉選びのセンスとか、テーマの有効な伝え方とか、もっとも鑑賞者の心を揺さぶる演出挿入のタイミングとか、そういったことを創作者はいちいち

    「調教」される「批評家」たち - 魔王14歳の幸福な電波
  • バハラグのヨヨ女王が悪女とか散々な言われようをされていますが - 魔王14歳の幸福な電波

    以下、スクウェアのスーパーファミコン時代のシミュレーションゲーム『バハムートラグーン』の作品内容に関するネタばれを含みます。それにしてもぐだぐだー。時間がなかったので長文になりました。 「スクウェア三大悪女」というよく分からない言葉があって、その中の一人には『バハムートラグーン』のヒロイン、ヨヨ王女の名前が挙げられています。この話題の関連で定期的に見かけるのが被告人 ヨヨというページ。これはよくあるネタで、「どうとでも取れる表現」を徹底的に悪い方に解釈し、その曲解を断定口調で書いたらこんな感じになるだろう、という見のようなページです。こういうネタページが存在すること自体はどうとも思いませんし、遊び心は大切だとも思います。でも、ヨヨ女王を叩く人がたびたびこのページを引き合いに出すのを見ているうちに、どうもこのページの内容をそのまま鵜呑みにしている人が少なくないのではと思うようになりました。

    バハラグのヨヨ女王が悪女とか散々な言われようをされていますが - 魔王14歳の幸福な電波
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