現代河内音頭の代名詞として全国的な認知度を誇ってきた河内家菊水丸は、2009年に伝統河内音頭継承者の道へ進む。“進化する河内音頭”を象徴する存在である菊水丸の突然の路線変更には多くの音頭ファンが驚かされたが、ルーツを巡る研究と修行を通じ、その世界観はさらに深みを増していった。そんな最中の2012年、菊水丸の身体に突如異変が現れる。音頭取りにとっての“命”である声を失う危機、そして奇跡の復活――。 取材時間は2時間を越えたが、菊水丸は絶好調。後半ともなると、あまりにも見事な話術に引き込まれてしまい、筆者はほぼ相鎚を打つ役割に撤している。先ごろリリースされたニュー・シングル「本日は晴天なり」の話から河内音頭の可能性も含め、いくらかの余談を交えたロング・インタヴュー後半戦。その小気味いい語り口と共にお楽しみいただきたい。 「新聞詠みの限界を感じるようになったんです。新聞詠みというのはその時折のニ