日本ほど「外国料理」をありがたがる国はない……! 「現地風の店」が出店すると、なぜこれほど日本人は喜ぶのか。 日本人が「異国の味」に求めているものはなんなのか。 博覧強記の料理人が、日本人の「舌」を形成する食文化に迫るエッセイ。 前回は、コースのイタリア料理が受け入れられるようになった「日本ならでは」の素地について考えました。 イタリア料理編4回目となる今回は、イタリアン店主を悩ませる、ある典型的な注文スタイルについて。 店の思惑とお客さんのニーズ 全体として見れば90年代以降、日本人のライフスタイルにスルスルっと入り込んでいったイタリア料理ですが、細かく見ていくと、そこにはちょっとした軋轢あつれきも少なくなかったように思います。 巷では既に繁華街のみならず郊外にもイタリアンレストランが一通り立ち並ぶようになった、2000年前後のエピソードを少しご紹介します。場所はとある中規模な地方都市。
![イタリアン店主の急所を突く「パスタ2皿だけの客」 | 稲田俊輔「異国の味」](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/6a90cbe8bdd1262fe2ce04ef6df5524184b235bf/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fyomitai.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2023%2F05%2Fe572f5415aeaab37403baa6bbb412d69.jpg)