保護者の経済的理由や虐待などによって家庭で育てられなくなった子どもたちが預けられる児童養護施設は、18歳で施設を退所しなくてはなりません。ただでさえ不安な新生活にもかかわらず、子どもたちは頼る人も、制度もないまま、自立を迫られるのです。児童福祉保護法改正の議論とともに、施設出身者の進学率の低さに注目が集まっていますが、本当の問題はどこにあるのでしょうか。児童養護施設から社会に巣立つ子どもたちの自立支援をしているNPO法人ブリッジフォースマイルの植村百合香さんにお話を伺いました。 ――児童養護施設にいる子どもたちはどのような理由で入所しているのでしょうか。 植村:みなさんがイメージするような、親の死亡・行方不明で天涯孤独に……という子どもは1割もいません。一番多い理由は育児放棄(ネグレクト)を含む親からの虐待です。そのほかにも、貧困、親の疾患、拘禁といった理由から、親が養育できなかった子ども