原発・放射線問題の混乱とSTAP事件に関連があるというと荒唐無稽に聞こえるだろうか。しかし私はこの1年余り、二つの関連について考え続けている。 2つの事件をつくったもの STAP論文がNatureに出版されたのはちょうど1年前、2014年初頭のことだった。STAP論文は、すでに原発事故によって自信を喪失し科学技術と科学者に対する不信がくすぶりつづけていた日本社会に、ほんの短い間のことであったが、大きな勇気を与えた。だからこそ、STAP論文は当時熱烈に社会に迎え入れられ、それがゆえに論文が瑕疵だらけのものであったことがあきらかになった時の落胆と混乱はあれだけ大きなものになったのだろう。 しかしいま私が書きたいのは、原発・放射線問題の混乱とSTAP事件の二つがたまたま時期が重なったというレベルの話ではない。 原発・放射線をめぐる問題で、反原発運動のために科学から程遠い流言・デマを基に頼ることを