冒頭と最後はおもしろかったが,中盤はやや中だるみしているという印象。 で,レビューを書こうとして,その前に世間の評判はどうなのかというのを調べたら出てきたのが,誤訳問題である。事前に知っていたら避けたと思うのだが,恥ずかしながらレビューを書く段になって気づいた。これに関しては書評の中身ともかかわってくるので,後から述べる。 物語の筋としては,理想に燃え才気にもあふれる主人公の道を誤った出世ストーリーで悪くはないのだが,まず出世の方法が「お前は島耕作か!」というほどいざという場面で女性頼りであり,その才気にあふれるという設定はどこに飛んでったんだと思わせられる(島耕作も,語学が天才的にできて雑務も得意だが,危機的状況は他人の手で助かることが多い)。というか,島耕作もこうであることを考えると,意外とこういった「才気あふれる」描写というのは難しく,ある種の作家にとっては鬼門なのではないだろうか,