指導国が存在しない「Gゼロ」という世界の到来を指摘したのが2011年1月。近著『「Gゼロ」後の世界―主導国なき時代の勝者はだれか』では、今後、アジアと中東で衝突や紛争が増えると警告している。尖閣諸島を巡る日中の対立もそうした流れの1つか。 ブレマー:残念ながらそうだ。10年前ならこうした問題は発生しなかった。中国が自国の利害をむき出しにするほどまだ大国になっていなかったからだ。日本の言うことに耳を傾けざるを得なかった。 中国は自国の利害をあらわにする だが毎年、日本より格段に速いスピードで成長し、経済力、技術力、軍事力など力をつけるに従い、中国は今後、ますます自分たちの利害をあらわにするだろう。こんな状況にもかかわらず、世界的な指導力を発揮できる国はもはや存在しない。よってアジアでは、日中だけでなく、様々な衝突が増えていく。そして、それは地域の経済成長に打撃を与えることになる。 今回の尖閣