料理の前には、包丁を研いでいる。 ほぼ毎日と言っていい。 景品かなにかでもらったショボい包丁研ぎ器でだ。 たまに友人が我が家の包丁を使うと、切れすぎて悲鳴をあげたりする。 あの悲鳴を聞くために、毎日包丁を研いでいると言ってもいい。 そうだ、近所の商店街に、たまに出店の研ぎ師さんがやってくる。 職人の技で、今度は友人に絶叫してもらいたいと思った。 というのは半分ウソで、私はあの、たまにふらりとやってくる研ぎ師の技をしっかりと拝見してみたかったのでした。 そしてできれば、じっくりお話をうかがいたかったのです。 (text by 土屋 遊) 職種はちがえど、私の父も祖父も、職人です。弟も父の家業を継ぎました。 だからというわけではありませんが、どうやら私は職人が好きなのです。だいすきです。 本日の主役、二階堂さん。 「ふうてんの寅さん(映画・男はつらいよ)が好きでねー」 と、しょっぱなから意気投