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2014年7月23日のブックマーク (1件)

  • はりねずみが眠るとき 孤独の手のひらに、包まれた時には

    江國香織の小説で一番好きなのは、何といっても『ぼくの小鳥ちゃん』だが、初期の短編集『つめたいよるに』(新潮文庫)は、格別に好きで、不意に手に取って、当てもなくページをめくりたくなる。 そのなかでも『ねぎを刻む』は、またしても格別に魅かれるものがあり、手に取るとつい読んでしまう短編だ。その小説はこんな風にして始まる。 「孤独がおしよせるのは、街灯がまるくあかりをおとす夜のホームに降りた瞬間だったりする。0.1秒だか0.01秒だか、ともかくホームに片足がついたそのせつな、何かの気配がよぎり、私は、あっ、と思う。あっ、と思った時にはすでに遅く、私は孤独の手のひらにすっぽりと包まれているのだ」 孤独の手のひらに瞬時に包まれ、ハッとする瞬間は誰しもにあることで、それは、恋人がいても夫がいても、両親がいる温かい卓があっても、子ども達の笑い声が響いていても、時間をいとわず長電話してくれる友人がいても、

    はりねずみが眠るとき 孤独の手のひらに、包まれた時には