現代より遡ること5000年。紀元前3000年頃、ティグリス川とユーフラテス川に挟まれたメソポタミア地方で人類最古の都市文明を築いたシュメル人が信じた神々とその神話がどのようなものであったか。後世、多くの神話に影響を与えたと思われる洪水神話、未だに読み継がれる英雄譚『ギルガメシュ叙事詩』をはじめとしたシュメル神話の全体像を描く一冊。 シュメル人の文明はキシュ、ニップル、アダブ、シュルッパク、ウンマ、ラガシュ、ウルク、ウルなどの都市国家を主体として成立した。都市国家はそれぞれ都市神というその都市の守護神を持ち、その都市国家の力が強まれば都市神の地位も向上する。ニップルの都市神エンリル、ウルクの都市神イナンナ(イシュタル)、ウルの都市神ナンナ(シン)、アダブの都市神ニンフルサグ、ラガシュの都市神ニンギルス(ニヌルタ)・・・などだ。また個々で信仰の対象としていた個人神や神格化された実在の王など、最