ブリテン諸島へ最初にキリスト教が伝播したのがいつごろかはよくわからない。中世以降に広まった伝承としては、西暦63年、キリストの遺体を引き取ったアリマタヤのヨセフがグラストンベリに教会堂を創始したことに始まるとする物語や、166年、ブリタニア... 五世紀から六世紀にかけて、アイルランドを中心としたブリテン諸島へのキリスト教布教が進み、修道院・教会での典礼用に福音書の大型写本が作成されるようになった。アイルランドでは六世紀から七世紀にかけて写本に文字の縁取りなど装飾が施されるようになり、七世紀後半から特徴的な組紐模様が登場、『ダロウの書』では動物的な形態や抽象的な要素が取り入れられ、渦巻模様と組み合わされて洗練されていった。 このような組紐模様、動物的形態、渦巻模様などはラ・テーヌ期の工芸品などにも共通することから、十九世紀以降古代ケルト人の文化と結びつけられ『晩期ケルト美術』と呼ばれるよう