「権利意識」の拡大によって社会が変わっていると主張すると、いかにも頼りないように見えるけれども、これぐらい大きく、それなりに幅広い文脈の中で主張すれば、説得力が出るだろうか。下の文章は、「自由と管理」などで言ったことを、もう少しきちんと言うため、でもあった(まぁシリーズ全体がそうなんだが、これは特に)。多分、あんまり増補の余地は無いな。次回は「セキュリティ/リスク」を書く予定。 女性の権利と公私の分離 近代化を支えた主要な思想は、人権の観念である。アメリカ独立戦争やフランス革命など、18世紀以降の政治変革の中で、ヨーロッパの幾つかの国では、「普遍的」な人権が市民の手に獲得されていった。だが、そこで人権の主体となった「人間」の範囲には、女性は含まれていなかった。人権思想が定着していくにつれて女性の不満も高まり、19世紀後半から女性の地位向上を主張する社会運動が盛り上がってくる(第一波フェミニ