■はじめに 今に始まった話ではないものの、特に近年、「財源がない」、「医師がいない」、「自然環境がない」という話が多い。これらの話の根幹には、資源配分や資源利用の非効率性の問題がある。 規制緩和を旗印とした小泉改革以来、社会格差が広がったと言われ、市場メカニズムの評判が悪い。その象徴的な言葉が「市場原理主義」である。この言葉から受ける印象は、「市場が悪の親玉」といったところか。 しかし、そんな市場にも、重要かつ有効な資源配分機能がある。それは、価格メカニズムである。価格メカニズムの良さは、各人にコスト意識を持たせるところにある。価格のおかげで、各人はそれぞれで分散的にコストと便益を比較し、資源利用量を決めていく。 これは次の2つの点で良い。 1つは、社会全体での便益が最大になるように、限りある資源を利用できるようになる点。 もう1つは、各人がそれぞれで意思決定するため、どこかに情報を集めて
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