原子の中の電子などの振る舞いを説明する量子力学。その根本にあるのが今から約80年前に提唱されたハイゼンベルクの「不確定性原理」だ。だが,極微の世界はいまだ完全には解明されず,研究の進展によって,不動と思われていた不確定性原理にも揺らぎが見え始めた。東北大学の小澤正直教授によって新たな不確定性原理の式が示された今,見直しは不可避の情勢だ。 不確定性原理とは次の不等式で表される。位置の不確定さの幅をΔq,運動量の不確定さの幅をΔpとすればΔqΔp≧h/4π。πは円周率,hは量子の世界の基本定数「プランク定数」だ。この不等式は大学の物理学の教科書の冒頭に載っており,量子力学の基礎として位置づけられている。式は非常に簡潔だが,意味するところは実は非常に複雑で奥が深い。「一般にはあまり意識されていないが,この不等式には大きく分けて2つの種類がある」(小澤教授)。式の形はまったく同じだが,左辺に置かれ
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